金沢は日中を通して雲が広がりやすいものの、時折晴れ間が覗く見込みです。最高気温は29℃前後の予想で、やや蒸し暑い一日となりそうです。

九月半ばを迎え、長雨や曇天が続いてブログの「ネタ」仕入れも足踏み状態で、今回は晴れやかな思い出とともに奥能登国際芸術祭2017の巡回記録です。
訪れたのは、唐破風の屋根と「中将湯温泉」のレトロな看板が深い趣を醸し出す、珠洲市の歴史ある銭湯「宝湯」です。地域の人々に長年愛されてきた趣深い銭湯が、芸術祭の舞台として特別な変貌を遂げていました。笑




まず目についたのは、入口に掲げられた作品案内看板です。
ここ宝湯では、麻生祥子さんによる作品番号16「信心のかたち」と、井上唯さんによる作品番号17「into the rain」の2つのアートが展示されていました。暖簾をくぐる前から、歴史ある銭湯の佇まいと現代アートがどのように調和しているのか胸が高鳴ります。

男湯の浴場に一歩足を踏み入れると、思わず息をのむ光景が広がっていました。
タイル張りの洗い場やカランを埋め尽くすように大量の白い泡が湧き上がり、山のように溢れかえっています。麻生祥子さんの『信心のかたち』は、日々の生活や祈りの場に漂う気配を泡という可視化された姿で表現しており、幻想的な空間に引き込まれました。




隣の女湯へと向かうと、そこには対照的な静けさと美しさが漂う井上唯さんの『into the rain』が広(ひろ)がっていました。
天井からなだらかに下がる色彩豊かなテキスタイルが空間を包み込み、光を受けて優しく透けています。かつて湯気で満たされていた空間に雨や水の恵みが降り注ぐような演出が施され、訪れた人々が布の下をくぐり抜けながら思い思いに楽しんでいました。



なお、展示舞台の「宝湯」は、長年地域の憩いの場として親しまれてきましたが、2024年1月の能登半島地震により浴場建物が全壊する甚大な被害を受けました。
しかし、奇跡的に湧き出た源泉を守りながら復興に向けた歩みが続けられています。かつてアートと温もりが交差したこの場所の記憶を大切に抱きながら、再び人々が集う日が訪れることを静かに願っています。




【撮影場所 珠洲市正院町「宝湯」:2017年09月09日:PENTAX K-3】
つづく




