2017年「奥能登国際芸術祭」三崎町小海「小海の半島の旧家の大海」

 金沢は日中を通して雨が降りやすく、外出には雨具が欠かせないでしょう。最高気温は24℃の予想で、肌寒さを感じる一日となりそうです。


 9月に入っても天候不順が続くなか過去の旅写真を振り返る「奥能登国際芸術祭」回想記の第13弾です。

 今回訪れたのは、小海の集落にある古民家を舞台にした岩崎貴宏氏の作品「小海の半島の旧家の大海」です。静けさに包まれた旧家の屋内に、広大な白銀の海と繊細なミニチュアの世界が幻想的に広がっています。笑


 和室の畳や部屋全体を覆うように、約2トンもの白い塩が敷き詰められ、枯山水のような波紋を描いています。

 塩の海にぽつんと浮かぶ小さな漁船や山のような造形は、作家が現地で食べた刺身のプラスチックトレーや海岸の漂着物などで作られており、身近な廃材から生み出された繊細な精巧さに息をのまれます。


 部屋の隅に置かれた年代物の文机の上には、木彫りの熊やこけし、貝細工など旧家に残された懐かしい民芸品が並んでいます。

 かつてこの場所で紡がれた人々の暮らしや旅の思い出が、静謐な塩の海と溶け合い、能登の豊かな塩づくり文化の歴史とともに、時を止めたかのようなノスタルジックな情景を醸し出しています。


 旧家の歴史と能登の塩、そして繊細なアートが見事に調和し、静かな感動とどこか懐かしい余韻に包まれました。

 さいはての地で出会う味わい深いアートの旅、次回も奥能登の風土と響き合う素晴らしい作品をご紹介していきますのでどうぞお楽しみに。白銀の海の静寂とともに鮮やかな旅の記憶が心に響きます。

【撮影場所 珠洲市三崎町小海:2017年09月09日:PENTAX K-3】

つづく